2017年4月7日金曜日

全国の破産管財人頑張れ

最近,営業のお電話をよくいただきます。渡部です。


ネットからの集客方法について縷々説明されるのですが,大抵,「ブログやってて,そこ経由から来るので大丈夫です。」と答えています。

ところが今日お電話を頂いた方は,「私どもの調査によると,ブログはなかなか集客に繋がらないので,もし教えていただけるのであるならばお時間いただけないでしょうか」と言ってきました。

やる気のある人だなと思ったし,別に隠すこともないので,「正直わからん。法律の話は一切していないから,なぜお客様が連絡をくれるのか一切わからん。」などと答えました。

その方も良い方で,集客方法に関する情報交換みたいなものが始まり,「先生,時事ネタはアクセス数が上がります。」とアドバイスをくれました。




その発想はなかった。




「なるほど確かに時事ネタはアクセス伸びるかもしれん。今までそんなこと考えずだべってただけだった。」
先生何考えてブログ更新してるんですか。例えばもうすぐGWなんで,道交法の話とかが考えられますよね。」
「それだったら道交法より『てるみくら◯』の方が需要がある気がする。」
「それ!そういうのを読者が求めているはずなんですよ。」



はい,今からてるみくらぶの話します。



◆覚えておきたい破産手続きのイロハ◆

弁護士のブログっぽくなってきました。渡部です。

てるみくらぶの話に関しては,私は当事者ではないのでなんの情報もないです。詳しくは下記URLを参照して頂いた方がいいと思います。
【破産管財人就任のご挨拶】
http://www.tellmeclub.com/20170327_info.html#info3

ところで法律相談とかやっていると,こういった大きな会社の破産事件の債権者(破産者に対して金銭等の請求権を持っている人)が,「ポコポコ手紙が来て何がなんだかわからない」というご相談を持ってこられることがあります。

そこで,破産手続きの前提知識を適当に書きます。


①破産の開始決定は裁判所が出す。

お金に困った会社は誰でも破産できるというわけではありません。
その基準は破産法に規定されているのですが,細かい話はすっ飛ばすと,裁判所が「破産するしかないよね。」と判断した場合に破産の開始決定が出ます。

ここでよく勘違いされがちなのが,破産の開始決定が出たのでその会社はもう潰れたのかというとそうではありません。
あくまで裁判所が出すのは破産の「開始」決定です。「破産(手続)が開始する」という決定を出しているだけなので,手続きはまだ始まったばかりなのです。

じゃあどんな手続きをするのかというと,その破産会社の「財産の調査」と「負債の調査」を行います。
「財産の調査」においては,とにかく会社の資産をお金に換えます。換価です。
同時並行で「負債の調査」をします。換価したお金を適正に配分できるか判断するためです。
「破産」とは,「財『産』を『破』壊する」と書いて破産です。破産手続きというのは,基本的に財産を破壊して換価し,それを債権者に分配できないか図る手続きということとなり,それ相応の期間がかかります。
ぼくが見たことあるのは,ゴルフ場の運営会社が破産をした際,5年くらいかかったものを見たことがあります。てるみがそれくらいかかるかどうかは,現時点では全くわかりません。

②会社が破産するときは「破産管財人」という人が就く。

先ほどの財産調査と負債調査ですが,裁判所が破産開始決定を出すものの,破産事件というのは年間5万件を超える申立てがなされており,特にてるみくらぶクラスの大きさになると,とてもじゃないけど裁判所のマンパワーが追いつきません。
そこで裁判所が,財産調査と負債調査の実行するため,「破産管財人」という人を選任します。

この破産管財人は,てるみの件でもそうですが,弁護士が選任されます。
しかも弁護士なら誰でも選任されるというわけではありません。
裁判所は破産管財人の選任権限と同時に監督義務もありますから,砕けた言い方をすれば,裁判所が,「こいつならこの破産事件を任せられる!」という人を一本釣りしているみたいです。

(国選弁護人等は,名簿方式で選任してますが,その点破産管財人はもっと踏み込んで,裁判所が能力的,経験的な分析もした上で選任しています。)

例えばぼくは,もう7〜8年ぐらい,川崎で破産管財人のお仕事を頂いていますが,それでも,てるみくらぶクラスの破産管財人には絶対に選任されません。あの規模の会社を解体する経験も能力もないからです(自信満々)。

ここまで書いたところで,お気づきでしょうか。

そうです。破産管財人とは,裁判所が破産開始決定を出した際に,裁判所が選任するものであり,破産会社の代理人弁護士ではありません(超重要)。
ぼくも破産管財人として行動する際,誰とは言いませんが,「おれの貸した金踏み倒そうとしてただで済むと(以下自粛)」,「絶対返すからと言ったから貸したのに,そこら辺分かっているわよね,どう責任を(以下自粛)」,「(全部自粛)」などとお問い合わせをいただくことが稀によくあるのですが,

破産をさせたのはぼくではありません。

管財人とは,あくまで公正中立な立場に立って,できるだけ債権者のみなさまに配当を実施しようと頑張っている人です。破産に至った経緯など,関わったどころか開始決定が出るまで知らないという無垢な人なのです。
破産開始決定が出て,事件の経緯を把握した際,「これはひどい。なんとか配当を実施できないか」と思うことはあっても,破産者の肩を持つことはありません。肩を持っても一円の特にもなりません。

このような説明をすると,債権者の皆様はだいたい誤解を解いてくださるので,いつもありがとうと思っております。そうです。破産手続きは破産管財人と債権者の皆様のご協力があって初めて成り立つ手続きなのです。

なお,これは個人差がありますが,ぼくは結構破産者本人を呼び出して,資料の提出を求めると同時に,めっちゃ説教を(以下自粛)


③よくある質問集

・裁判所から(破産管財人から)債権届出という書面が来た。返信した方がいいのか?
必ず返信してください。
これは上述した「負債の調査」を破産管財人が行なっているものです。
いわば「あなたの債権なんぼ?」というアンケートの用なもので,これに回答しないと,「債権なし」と判断され,配当(換価したお金を債権者の皆様に配る手続き)に参加できない可能性が出て来ます。
無論,返信したからと言ってお金が返ってくる保証はありません。そもそもお金を払えなくなっているから破産をしているわけで,「全額配当事案」というのは(理論上)ありえません。また,配当率が何パーセントかもわからず,そもそも配当できない(お金ない)事案もあります。
それでも,このアンケートに回答しておかないと将来的に配当を受ける可能性を自ら放棄することとなるので,ぼくは,必ず返信しておきなさいとアドバイスしています。
・これ(債権届出等)はよくある振り込め詐欺ではないか?
これは現場レベルで法律相談を受けていると,かなりの割合で飛び出す質問です。
昨今の振り込め詐欺は手口が巧妙化し,そのような犯罪を疑うその精神は素晴らしいです。
仕舞いには,実在する弁護士の名を騙って金銭請求する事案も発生しており,当会(神奈川県弁護士会)においても,緊急案件として市民の皆様に注意喚起の声明がでております。
【神奈川県弁護士会・実在する弁護士名を騙った請求にご注意ください】
http://www.kanaben.or.jp/news/info/2016/post-70.html
破産手続きが進むと,(配当事案になった場合)振込送金依頼書という書面が届き,振込先口座を記入して返送することを求められますが,破産開始決定から数年期間が空いていきなりこの振込送金依頼書が送られると,詐欺の類か何かと疑う方が多いです。
そんな場合には,当該送り主が本当に弁護士か確認してください。
確認の方法はいくつかありますが,一番手っ取り早いのは日本弁護士連合会(日弁連)の弁護士検索サイトで調べるのが良いです。
【日本弁護士連合会・弁護士情報・法人情報検索】
https://www.nichibenren.jp/member_general/lawyerandcorpsearchselect/corpInfoSearchInput/changeBarSearch/
ここに弁護士の名前だけでも情報として入れて検索するとあら不思議。当該弁護士の事務所所在地や電話番号など,その業務情報がタダで垂れ流されています。
日本国内で弁護士として稼働するには日弁連に絶対登録しなければならず,ここの検索でヒットしない人は絶対に弁護士資格がありません。
試しに今,ぼくの名前で検索して見ましたが,ぼくは弁護士でした。セーフ。
・弁護士検索の情報と送付元の情報が違う。
債権届出等が届いたので,日弁連で検索してみたら,書類の元の住所や電話番号が検索結果と違う。これはレアケースですが実際にあります。
例えばですが,てるみくらぶの場合,破産管財人がHPに問い合わせ先を掲載していますが,問い合わせ電話番号が破産管財人の事務所電話番号と異なります(ひょっとしたら住所も違うかもしれない。)。
過去,これを指摘して来た相談者の方が何人かいらっしゃいましたが,よくそこに気がついたなと驚きました。
結論としては,封書に記載してある方の連絡先にお問い合わせください(今日一番重要)。
実はこれには破産管財人側の事情があり,このようになっているケースがあります。
てるみくらぶ級の債権者数,会社規模になりますと,問い合わせや交渉の電話が殺到します。
その件数たるや想像を絶するものがあり,自分の事務所の電話番号を問い合わせ先にすると,事務所の回線がパンクし,破産管財人の事務所に依頼している他のお客様と連絡が取れない等の障害が発生し,他のお客様の事件進行がカオスになるのです。
そのため,てるみくらぶ級の破産になると,そのような障害を回避するため,破産管財人がてるみくらぶ用の電話回線を開設したり,場合によってはてるみくらぶを処理するようの賃貸物件を借りて,そこを拠点に事件処理をすることが多いです。逆に,このような処理をしないと,てるみくらぶの事件処理にも弊害が生じ,破産管財人事務所のお客様にも弊害が生じてしまうので,そのような方策をとるのです。その場合の拠点連絡先等は,日弁連の検索結果に掲載はされません(一時的なものなので。)。
そのため,拠点の連絡先にご連絡頂いた方が話もスムーズですし,専用回線なので,情報伝達も早いです。


④最後に

今日ぼくがした話は,あくまで「金」の話です。
金はとても大事です。てるみくらぶの換価可能性がどの程度のものなのかぼくは全く知りませんが,少なくとも,東京地裁がこの案件を任せられるとした破産管財人は「本当に真剣に換価に打ち込んでくれるか」というのを一つの選任条件にしているはずなので,配当の可否はさておき,本気で会社を解体し,少しでも換価できるよう目指すはずです。
きっと,全国の破産管財人が,応援しています。

それとは別に,お金とは別の,多大な迷惑を被った債権者の方々が多いのがこの事件の特徴です。
日本経済新聞の報道によれば,4月3日時点で,観光庁が旅行者と連絡が取れなくなっている方はいらっしゃらないようではあります。
事件はまだ始まったばかりなので,動向を注視する必要はありますが,今,海外にいらっしゃる方々が,とにかく無事に家に帰れればとみんな思っています。

もうすぐGWだし,新婚旅行とか申し込んだ方も多いと思いますが,わかんないっすけど,きっと,違う形で幸せがくると思います。

ぼく,新婚旅行いってないけど幸せだし。
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